
うしのはま先生のコラム
先天性心疾患に関する質問①
先天性心疾患と聞いて、皆様はどのような病気をイメージされるでしょうか?
心臓の病気というと、直ちに命に関わる状況を想像する方も多いと思います。
しかし、実際は治療の必要がない症例や、成長に伴って緩和していく症例もあります。
今回は、そんな先天性心疾患についてよくある質問の中から、いくつかピックアップしてみました。
先天性疾患がどのようなものなのか、基本的な情報を知りたいという方はぜひご覧ください。
子どもが生まれつき心臓病なのは珍しいことですか?
先天性心疾患にはいくつかの種類がありますが、生まれつき心臓に疾患がある状態はそれほど珍しいものではありません。
現在の日本では、100人に1人の割合でなんらかの先天性心疾患を抱えていると言われています。
生まれつき心臓や血管の構造が通常と異なるなどのケースは年間1万人の赤ちゃんにみられる症状であり、重篤で危険な状態であると考える必要はないでしょう。
とはいえ、心疾患にはさまざまなものがあるため、治療についてはきちんと主治医のもとで継続的に行う必要があります。
中には、難易度の高い治療が必要となる症例もありますので、まずはしっかりとお子様の心臓の状態を把握し、治療計画を立てていきましょう。
先天性心疾患の種類について教えてください
先天性心疾患には、治療の必要がないものや自然治癒が見込めるものから、すぐにでも手術が必要なもの、現代の医学では完治が難しいものまで、さまざまな種類があります。
中でも日本人に多い先天性心疾患は、心室中隔欠損です。
左心室と右心室を仕切る壁に穴が開いているという状態で、先天性心疾患の約3分の1を占めています。
次に多くみられるのが、心房中隔欠損症です。
心房中隔欠損症は右心房と左心房の間の壁に穴が開いている状態で、自然に閉鎖する可能性は低いため、治療が必要です。
そのほかにも、いくつかの症状が合併している比較的重度の心疾患や心室が一つしかない単心室症、形成が十分でない左心低形成症候群など、多くの種類があります。
先天性心疾患はどうやって発見されますか?
近年では、先天性心疾患を胎児のうちに発見することもできるようになりました。
妊婦健診で行う超音波検査(エコー)で、早ければ20週(妊娠5ヵ月)ほどで胎児の心臓の異変を察知することができます。
多くの場合は妊娠7~8ヵ月ごろ、胎児の心臓がある程度形成された段階で異変が見つかっています。
心室や心房が一つしかない、心臓が正しく形成されていないといった重症度に分類される先天性心疾患は、早期に発見される可能性が高くなります。
胎児のうちに異常を発見できることで、生まれてくる赤ちゃんを迎える前に治療計画や準備ができるようになりました。
生まれてすぐに専門的な医療を受けられる体制を整えることで、これまでは難しいとされていた症例も救える環境が実現したのです。
先天性心疾患を持つ親から生まれた子どもは同じ病気になりますか?
心房中隔欠損、肺動脈閉鎖、心室中隔欠損、大動脈弁狭窄、動脈管開存など、いくつかの心疾患は、親が罹患している場合に子どもが罹患する可能性は3~4倍と言われています。
また、きょうだい間で同じ病気を抱えているケースも若干高くなることが知られています。
とは言え、心疾患の全てが遺伝によって引き起こされるというものではありません。
ご両親が心疾患を抱えていなくても、心疾患を持つ子どもが生まれることは大いにあり得ます。
また、両親が心疾患を患った経験があったとして、必ずしも子どもが同じ病気である、ということもありません。
心臓病はさまざまな要因によって発生する病気であり、決して誰かのせいで起こるものではないということをきちんと知っておいていただけたらと思います。
医院情報
「大濠こどもクリニック」は、大濠公園のすぐ隣にある小児クリニックです。
小児科の総合診療科のような立ち位置で、多くの方の「かかりつけ医」として、お子様の健康を支えることに貢献してきました。
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